ブログ西麻布店

2018.2.11

料理を彩る器(漆器)

相変わらずの寒さで、春の訪れが待たれる昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

一月もあっという間に過ぎ、二月に入ろうとしていますが、今回は、おせち料理を盛っていたお重などの塗り物(漆器)についてお話させて頂きます。

 

 

料理をよそる漆器について

漆器は木や紙などに漆を塗り重ねて作る工芸品で、日常品から高級品と様々な用途があります。漆を表面に塗ることで器物は格段に長持ちします。

ウルシの木の表面に傷をつけ、そこから出てくる乳白色の樹液を採取したものが漆液の元になります。

この漆液をろ過し、木の皮などを取り除いたものを「生漆」と呼びます。これが一般的な漆の元になるもので、このままでも摺り漆として使われます。

これを加工された素地に下地工程、塗り工程と、細かく挙げると30~40になる手順を経て漆器に仕上げていきます、この工程は漆工と言われそれぞれに名前があり、生産地別で考え出された漆工も合わせると多岐にわたります。

 

漆器の材料

利用される素地には、よく乾燥された木材、竹、紙、金属などがあり、現代では合成樹脂も使われています。更に、漆にセルロースナノファイバーを混ぜて光沢や強度を高める技術が開発されるなど、時代とともに変化しているそうです。

漆の木は、日本や中国、東南アジアなどで生育し、以前は日本各地で漆を生産したようですが、現在では日本で使う漆の90%以上が中国から輸入されたものです。日本産の漆は希少で価格も高いので、主に神社仏閣の補修などに使われています。漆は天然のものですので採取した国や産地により、また採取した年代や時期によって、漆の成分が異なり、粘度や乾きの早さなどの性質が違ってきます。それらの性質を把握し、異なる漆を組み合わせるなどして、使用目的にあった適当な漆を作り出すことが漆を扱うノウハウとなります。

生漆にナヤシ(かき混ぜて漆の成分を均一にする)やクロメ(加熱して余分な水分を取り除く)といった精製作業を行い、精製漆をつくります。この漆は、透明な飴色で「透漆」と呼ばれます。また、精製作業において鉄粉を混ぜ、酸化作用により漆を黒くしたものが「黒漆」で、皆様が良く知っておられる黒い漆になります。さらに、この「透漆」や「黒漆」に油分を加えて艶のある漆にしたり、「透漆」に顔料を加えて朱や緑といった「色漆」を作ったりします。ですが、「透漆」は飴色がかっていますので、いくら顔料を混ぜても、淡い色合いを出すことは出来ません。なので、一般的な漆の色合いとしては、朱(赤色)、洗朱(オレンジのような色)、緑、黄色などで、どれも濃い目の色合いになります。そして、漆では淡い色合いが出ない、という最も端的な例は「白漆」です。これも、ベースの漆の飴色に白の顔料を混ぜるのですから、決して真っ白にはならず、いわゆる「ベージュ」のような色になります。

このことを知らずに白漆の塗られた漆器を見られた方は、間違いなくその色を「白」というふうには表現しないだろう、と思います。

漆の「乾く」とは

因みに、漆は一般的な「乾く」という概念とは大きく異なります。

一般的な「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発するというイメージですが、漆は全く逆で、空気中の水分を取り込んで乾きます。漆が乾くというのは、成分の酵素(ラッカーゼ)が水分の中の酸素を取り込んで反応し、ウルシオールが液体から個体になっていくことです。ですから、漆を乾燥させるには、温度が25~30℃、湿度70%程度が最も良いとされ、日本では梅雨時が最も乾燥が早くなります。梅雨時期や夏場は気候的にも乾きやすくなりますが、それ以外の時期でも漆を乾かすため、「漆風呂」「むろ」と呼ばれる漆用の乾燥室を使います。

塗り物の種類はまたどこかで触れていきたいと思います。

まだ寒い日が続きますので当店で温かい御食事ご賞味下さいますことを、

スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。

西麻布店
小川隆太郎

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