ブログ赤坂店

2017.2.20

鼈(すっぽん)と鮟肝~料理長 石田が語る~

瓢嘻赤坂店、料理長を務めております石田と申します。

2月に入り寒さも本番となって参りましたね。

 

さて、今月はいくつかの食材や料理についてお話させて頂ければと思います。

 

□鼈(すっぽん)

まずは、鼈(すっぽん)についてお話していきたいと思います。

すっぽんと言えば、私ども料理人としては「河豚」、「鱧」、「鼈(すっぽん)」の日本料理三大必須科目の一つでございます。

 

〈すっぽん料理の種類〉

すっぽん料理と言えば、から揚げ、茶わん蒸し、お造里などございますが、やはり「まる鍋」ではないでしょうか。焼葱や焼餅をすっぽんのスープと一緒に食べるのは寒い時期にぴったりですね。また、まる鍋のスープで作る雑炊は最高です。吸い物は日本料理の中では高級料理とされております。甲羅や爪、膀胱以外はすべて食べられます。

ずっぽんは、その形状が丸いため「まる」と呼ばれる事もございます。解体することは、専門用語で「四つ解き」などとも言います。古代中国の書「週礼」によれば、周代にはすっぽんを調理する「鼈人」という官職があり、宮廷では古くからすっぽん料理が食されていたようです。韓国では、サムゲタンに高級食材を加えた龍鳳湯の食材に用いられる事があるそうですよ。滋養強壮の食材とされておりますが、肉には水分が多く、蛋白質、脂質が少なくカロリーは低い。ビタミンA、ビタミンB1は多いようです。

 

〈すっぽんの養殖〉

養殖のすっぽんを養龞(ようべつ)といい、養殖は多くの他府県で盛んでございます。

養殖の手法には、野生のすっぽんと同様に冬眠させて行う露地養殖と、工場の排熱や温泉などを利用した加温養殖があります。神経質でかつ日光浴を好むすっぽんには静寂で日照のある環境が重要であるため、山間部や一年を通じてのビニールハウス養殖は適さないです。

すっぽん科で大型のコブクビスッポンやマルクビスッポンなどは、中国では食用として珍重されていましたが、養殖が進まず絶滅が危惧されております。

甲羅を乾燥させたものを土鼈甲(どべっこ)といい粉末にして精力剤とされるほか、市販の栄養ドリンクや健康食品の原材料に用いられることもあります。他のカメと異なり、甲羅表面は角質化していないので柔らかく英訳のsoft―shelled―turtle(柔らかい甲羅を持つ亀)もこのことに由来致します。この性質のため他の亀よりかなり体重が軽いです。

 

〈すっぽんの生態〉

噛みつく力は強く、すっぽんの体に触った場合は自己防衛のため食いつこうとします。

「雷が鳴っても離さない」とも言いますが、噛まれた場合動かさなければ10秒程で噛みをやめます。大抵の場合、水に戻せば泳いで逃げていきます。古くは物事をしつこく探求するものを「すっぽんの何某」と呼ぶこともあったそうですよ。

 

〈すっぽんの下処理〉

では、すっぽんの下処理についてお話いたします。

スープの取り方ですが、解体した後、80℃程度の湯にくぐらせ表面の薄皮を剥き血合いも丁寧に処理していきます。丁寧に処理したものを昆布、水、酒と共に鍋に入れコトコト煮出していきます。そして、身は丁寧に骨を取り除いていきます。

美味しいものは手間ひまかかりますね?

 

□鮟肝

さて、海のフォアグラ「鮟肝」についても少しお話しさせていただきたいと思います。

鮟肝は他の魚の肝(肝臓)よりも脂肪が多いとされています。

肝の脂肪分の比較では、鯛2%、鮪は3%、鮟鱇の肝は40%と他の魚の肝よりも非常に脂肪分が多いことが分かります。これは鮟鱇は餌の少ない深海に棲むため、餌の栄養を肝臓に脂肪として蓄え少しずつ使うためだそうです。鮟肝が濃厚でネットリしているのは、こういう鮟鱇の生態が理由なんですね。

珍味とされている鮟肝ですが、主に茨城県や下関が産地で鮟鱇鍋で食されることが多いです。青森では鮟鱇の身と肝を和えた「共和え」が郷土料理となっているようです。また、鮟肝を缶詰めにした加工品も生産されているようです。

日本のフランス料理店で、フォアグラ料理に似た調理が行われているそうです。フランスでも鮟鱇の肝は食され、「foie de lotte」という鮟肝が売られております。

また英国ではロンドンでも手に入りにくいものだそうですよ。

スペインでは「higado de rape」と呼び、料理に用いります。

 

当店の鮟肝は、低温で蒸し煮にしておりますので、鮟肝のネットリ感やうま味を楽しんでいただける一品となっております。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

それでは皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。

 

瓢嘻赤坂店 料理長 石田龍太郎
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